僕は人をダシにして笑うためにIngressを始めたわけではない
ネットで何となく話題になっていたから、くらいの軽い切っ掛けで始めたIngress。最初の憧れはすべての要素にアクセスできるレベル8のエージェントで、それを目指して活動していた。
その途中、様々なIngressの光の面を見てきた。ネットで紹介されているそのゲームは、ただストイックに遠いリンクを張り、広大なコントロール・フィールドを作るプレイヤー達の物語だった。
揉め事もいくつか散見された。活動やゲームにおけるマナーがどうとか、このように遊ぶべきであるはずだ、とか。それは一部のプレイヤー間でのトラブルに過ぎない、と、甘く見ていた。このゲームを愛する熟達したエージェント達は、もっと高いモラルで活動している物と思っていた。
時は過ぎ、レベルは8を超えた。スタンドアロンで活動していたら、自分よりもレベルの高いエージェントから地元のハングアウトに誘われた。活動範囲でよく見るコードネームだ。きっと素晴らしい人に違いない、と、夢想していた。
現実は非常だった。と言うか、よく考えれば分かることであった。何かの達人である事が、その人やその集団の人間性までは保証しないという経験は嫌ほど経験してきたのに、それをすっかり忘れていた。
ハングアウト内で交わされる、相手エージェントをネタにしたジョークに耐えられなかった。これが純粋なMMORPGのようなネットゲームであれば、そこにいるはずの生身の人間を無視できるので、まだ聞き流すことができるのであるが、実際に会って対話したことのある相手を、影で見下して会話をすることのできる、その神経が信じられなかった。我々は子供でもモラトリアムでもない。いい大人である。その中には人の親もいるのだ。その未熟な人間性が、そしてそのような人間の存在が信じられなかった。
僕は、密室で人を笑うために、Ingressを、ハングアウトを始めたわけではない。